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管理人 : 松浦明宏
展示会「ちよだの出版社33」・野家啓一先生推薦文(『はじめての論理学』)
有斐閣さんの「自慢の一冊」に『はじめての論理学』が選ばれ、「ちよだの出版社33」で展示されることになりました。また、先般、東北大学名誉教授の野家啓一先生からのご推薦もいただき、ありがたい限りです。


野家啓一先生推薦文
「議論のための日本語の使い方を学び、論文の書き方を身に着けるうちに、いつの間にか記号論理の玄関口に立っている。論理的に考えをまとめ、筋道だった文章を書くのが苦手という人に最適の、痒いところに手の届く入門書。」


パネル展示会「ちよだの出版社33」
協力:一般社団法人出版梓会 
場所:千代田区立図書館 
期間:2020.12.28〜2021.3.27

下記の写真は有斐閣編集部 twitterより転載

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出版時から比較的売り上げが好調のようで、前回ブログの繰り返しになりますが、著者の一人として少し安心しました。また、こうした機会に取り上げていただけたことについて、出版社の方々はもちろん、出版直後からさっそくご購入くださったみなさまのおかげと感謝申し上げます。

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学生さんの目線に立てば、私が担当した第三部 議論の論理(第6章 論証の定石、第7章 反論の定石 、第8章 反論の実践)については、本の帯にも書かれています通り、議論が本当に論理的に行われているのかどうかを把握する力、自分で論理的な議論を書く力を身につけていただきたいという点が、もっとも重要な点です。そのために、検証型反論と代案型反論という、二種類の反論の区別を学ぶことを主要な目的の一つとして設定しています。

有斐閣さんは法律関係の書籍が多い出版社なので、議論の一例として「法廷弁論」について言えば、個人的に(自分が訴えられたとか訴えたということではありませんが)たまたま、実際の法廷弁論に触れる機会があり、弁護士さんの行っているお仕事を間近で拝見すると、法廷弁論というのは、当然ながら、単に記号論理的な意味での論理だけで成り立っているものではないということがよくわかります(だから記号論理が不要だということではありませんので、誤解されないように付け加えておきます)。

もちろん、本書はすべての分野の学生さんのために書かれている書籍なので、本書の中に法廷弁論に特化した内容が書かれているわけではありませんが、本書の第三部を書くときに、法廷弁論の現場を念頭に置きながら書いたということもまた事実です。各種の論法(定義による論法、条件文による論法等)や、各種の誤りのパターン(「言葉の意味の不明瞭」、「論点相違」、「暗黙の前提」など)、検証と代案という反論の種類の区別は、一般の学生さんが論理的な議論や論述を行う時だけでなく、実際の法廷弁論を身につける際の「基礎」になることは確かであり、少なくとも、大学に入学したばかりの方が最初に手に取る本としては、適した内容とレベルの書籍であろうと思います。


# by matsuura2005 | 2020-12-30 01:55 | エッセイ