管理人 : 松浦明宏
Platon PLUS とステファヌス版
最近知ったのですが、バーネット版プラトン全集のギリシア語テキスト、Schleiermacherのドイツ語訳と序文(一般的序文と各対話篇への序文)、そして、Susemihl, Müller, Wiegandによる『ティマイオス』、『クリティアス』、『法律』、『書簡集』のErgänzende Übersetzungenが1セットになったもの(Platon PLUS)が、かなり前からCD-Rom版とDowload版で出ていたのですね(https://www.infosoftware.de/platonplus.html)。

遅まきながら、早速、購入、ダウンロードして使ってみたところ、なかなか快適です。80,00 EUR (Download版)ということは、手元の換算表によれば、11,439円ほどの出費でプラトン全集のギリシア語版とドイツ語訳と序文とが数分の内にすべてパソコン画面で見られるようになるわけでして、今まで苦労して集めた紙媒体の全集と翻訳と序文への出費と時間を考えると、これからプラトンの勉強をはじめようという方は、まず、こちらからどうぞ、テキスト類が安く手早く手に入りますよ、ということになるでしょうか。

難点は、新しい校訂本がOCTから出ているものについては、それらを参照する必要が出てくるということと、引用する際のステファヌス版の行番号は紙媒体を見なければわからない、というあたりが考えられます。

もっとも、OCTと他の版とでステファヌス版の行記号や行番号の位置が結構違っていたりすることを考えれば(e.g. OCTのSph.217e1 synousian はビュデ版なら217d9で、ほとんど2行近く違っているように見えます)、OCTの行番号が、どこまで本当のステファヌス版の行番号を反映しているのか、現物のステファヌス版と対照してみないとわからないということはあります。実際、ステファヌス版では10行ごとにA-Eの行記号が割り振られているという話ですが、OCTの各行記号間は、8行だったり13行だったりで、一定していないように見えます(ステファヌス版でも、「大体10行ごと」、「平均すると10行ごと」、という意味なのかもしれませんが・・・)。しかし、論文などでOCTが底本に使われることが多いということは、OCTが一番ステファヌス版に近いということなのかもしれません。今度、時間があれば、東北大図書館にあるステファヌス版と見比べてみようと思います。

ちなみに、一度だけ図書館でこのステファヌス版を見たことがあります。私がその時見ていたのは『パルメニデス』で、正真正銘の「宝物」というのはこういうもののことかと思い、圧倒されたことを覚えています。これは通常の書庫には置かれておらず、特別の場所に保管されていて、図書館員の方が白手袋をはめて台車に載せて運んできてくださいました。結構大きな書物で、40〜50センチくらいの長さがあったように見えました。それを私は素手でパラパラとめくっていたわけですが、そんなことをしてよかったのでしょうか・・・。図書館員の方は、別に何もおっしゃらなかったので、構わなかったのかもしれませんが・・・。

そういえば、シュライアーマッハーのドイツ語訳(第三版(1855年))も図書館に入っていました。図書館と張り合うわけではありませんが、以前、神田の崇文壮書店で第二版を見つけて買ってきたことがあります。買ったまではよかったのですが、当時はあまりシュライアーマッハーには興味がなかったこともあって、パラパラとめくっただけでおしまい。引っ越しの時、段ボールの中に入れたっきり、"どこかへいって"しまって、見つからなくなってしまいました。なんという不届き者かと、今になってそう思います。「宝の持ち腐れ」とはよく言ったもので、私の場合がまさにそれです。捨てたり売ったりしたわけではないので、探せばあることは確かなのですけれど、また引っ越しでもしない限り、当分、出てきそうにありません。

話がそれましたが、ともかく、そういうわけで、Platon PLUS は、特にシュライアーマッハーの「序文」もすべて網羅されているところなど、ソフト作成者に対して、「わかってるね!」という感じで(笑)、現在の私には、当分手放せないソフトになりました。
by matsuura2005 | 2006-05-27 22:05
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